2008年01・02月

■北と南の和解の道へ

沖縄教区主教 ダビデ 谷 昌二

「韓半島の統一と東北アジアの平和」をテーマに、“全聖公会平和フォーラム”が韓国で、2007年11月14日~20日開かれました。世界各地と韓国から200人を超す人々が集まり、日本の植民地支配、朝鮮戦争・南北分断の歴史を振り返り、世界の分断・争いの体験を聞き、現代の課題を学び、話し合いました。日本の植民地支配が、南北分断の大きな原因であることを痛みをもって知り、平和憲法の重さを実感しました。
最初に、北朝鮮の金剛山(クムガンサン)に行きました。そこで、わずかですが北朝鮮の人々の生活の様子を垣間見ることができました。が、あまりにも大きい北と南の差に胸が痛くなる思いがしました。
山には全く木がありません。牛が土起こしに使われています。遠くに小さな家が点在しています。低い小さな電柱に張られた2本の電線が寂しく田んぼの上を走っています。夕方ですが、家の周りに明かりはありません。道の交差点、見晴らしの良い所には、兵士が必ず一人、又二人、直立不動で見張りをしています。金剛山に登りました。岩肌の綺麗な山ですが、その岩に何か字が彫ってあるのです。「私たちは将軍様のお陰で生活ができます。私たちは将軍様のためなら命を捨てても惜しくありません。」
私は、これらのことに接しながら、人間が神的な権威をもって支配することが何を意味するのか、はっきりと示された思いがしました。日本も天皇を神とした時代に何があったのか、共通しています。神となった人以外の人間の尊厳が奪われてしまいます。神として祭り上げられた人間とそれをとりまく官僚集団、それを護衛する強力な軍事組織。そのもとで、それ以外の人々は、人権を奪われ、本当に貧しい生活を強制されて生きていく。
この姿に接したとき、私は、どうしてイエスが、神の子として貧しい馬小屋で生まれ、生涯、貧しい人、苦しんでいる人と共に生きたのか、分かる思いがしました。
人を神としてはならない。これは他人事ではありません。私自身の中に、自分自身を神としようとする心がいつも潜んでいます。それが人を支配し、人のものを奪い、人に仕えさせようとします。争いの原因、それは自分自身が神となることです。
イエスを主と迎えて、この自分の中にある自分を神にしようとする誘惑と戦いながら、人と和解し、人に仕える喜びをしっかりと養っていく。ここから、世界の平和が始まることを教えられました。
脱北した一人の若い女性の体験を聞きました。つらい苦しい生活から、北を出てきて分かったことは、南はとても住みづらいこと。南の人の生活にビジョンがない。人間関係が冷たいと明言されました。私はとてもショックでした。ただ南の価値観だけで北を見ていた誤りに気付かされました。
北の支配体制には問題がありますが、一般の人々の生活には、私たち南の者が失ってしまった大切なものが残されている。それを私たちは尊敬の念を持って受け止めていかねばならない。互いに相手を敬い、受け入れること。これが和解と一致への道であるのです。
徹底して、貧しい人・苦しんでいる人と共に生きたイエスを、ここでも又、新たに発見した思いがしました。


■東京教区・宣教の働き

東京教区宣教主事 宮脇博子

今から6年前、東京教区宣教主事としての仕事を頂いて初めて、カパティランの活動を目の当たりにすることとなりました。それは驚きと感動と同時に感謝でした。
30件の電話がかかることもあり、狭い部屋で一生懸命答える声と声が混線状態。身寄りのないフィリピン女性が急病のこどもを抱えて立ちすくんでいるところへスタッフはとりあえず自分の財布をにぎってかけつけ病院にいっしょに行き、知り合いからこどもの衣服を集め、身を寄せる場所を探し送り届ける。なにかで困り果てたフィリピン女性が○○市のファミリーレストランで助けを待っていると聞いてとにかくとんでゆく。DV問題を抱えた女性といっしょに、離婚に応じない恐ろしい顔つきの夫と会って話をする……などなど。そのあとどうするの? 何ができるの? など聞くことなどヤボ! と思う程の動きでした。
緊急SOSに、ともかく駆けつけそばにいて、いっしょに困って、いっしょに泣いて、いっしょに怒って・・・ということだったのでしょう。時間、労力、どこにも請求しにくい出費などもあったことでしょう、大きな負担と覚悟を背負っておられたと思うのですが、カパティランには明るい笑顔が満ちあふれていました。
植田仁太郎主教はご就任当初から、東京教区の宣教について教区会演説などを通じ、ご自分のお考えを明らかにしてこられました。私自身が至らぬながら感じ取ってきたことは、次の通りです。
多くの大切な働きは各個教会の働きであり、信徒各個人が関心事に基づいて自主的に行う活動そのものである、ということです。
まず、日本聖公会の教会は祈祷書に基づいた聖餐式を守り、世界の平和を祈り、個人的な悩みも争いも神様に委ねることによって、救いの確信を得てきました。クリスチャンでない方々から見れば違和感のある礼拝ですが、教派の継承は礼拝の形式によってなされているといってもいいのではないでしょうか。つまり聖公会という教派継承リレーのたすきのようなものだと思います。
そこで神様から霊的に養われ派遣された私たちが一週間どのように過ごすかが大切となりますが、植田主教は、カパティランのような働きを各々の生活の場でしっかりやってほしい、教区として支援できることがあったらしたい、神様によしとされる働きならば、困難と思うことも必ずうまくいきます、という姿勢をさまざまな場面で示してこられました。
一方東京教区としては、各教会や個人でやりにくいこと、又どちらかというとあまり注目されてこなかったことを厳選してフォーカスをあて、信仰生活での実践、いと小さきもののために具体的に動くことへのモチベーション作りが課題であると、私は理解してきました。
特にパレスチナ問題では、主教と信徒たちによるエルサレム教区訪問団によって、屈辱的なイスラエル支配下にある聖公会の友人たちの生活と世界に報道されていない事実が明らかになりました。
複雑な政治・宗教問題や資金力は? と考える暇もなくパレスチナの友人たちのところへかけつけ、逆になにか豊かなものを頂いて、笑顔で帰国する訪問が毎年続けられています。
カパティランはこの6年間、対応する問題の傾向、スタッフの身辺の状況、活動の進め方、予算の使い方それぞれに過去の反省と評価に基づいて変化してきました。運営委員会も組織され事務局もでき、整った新しい方向を模索する中、しかしNPOとしての独立はせず、あくまでもキリスト教信仰に基づいて、理解と支援を頂きながら教会の働きとしてやってゆくことになりました。
であれば、在日外国人の困難を知り、放っておけないと思う信徒の心から活動はやはり始まる、と私は思います。例えば教会を会場に外国人コミュニティーができる…、そこに関わる教会信徒の素朴で親切な動きが、今までカパティランで蓄積した法律の知識、カウンセリングの心得、聖職者の支え等の応援を得て、具体的な成果をあげてゆく…そういう小さな活動に、神様はきっと目をとめて導いてくださる、と確信しています。


■カパティラン クリスマス・ミサ/パーティー

2007年12月8日、アンデレホールにおいて、楽しく素敵なカパティラン・クリスマスパーティーがひらかれました。クライアントや元クライアントがご家族と一緒に、カパティランのスタッフや運営委員、友人、仲間と愉快な分かち合いの午後を過ごしました。
パーティーに先立って、午後1時から聖アンデレ教会において、フィリピン、コルディリエラから日本に来ていらっしゃるカトリックのフィリップ神父の司式、佐々木庸司祭の補式でミサが行われました。フィリピンのキャロルがミサの中で歌われました。
その後、遅めの昼食で、それぞれが持ち寄ったご馳走をお互いにいただき、次々に色々なことをしているうちに、あたりは暗くなっていました。お母さんと子どもたちが一緒になって、ゲームやダンスをしたり歌ったり…楽しい時間を過ごしました。また、フィリピンの楽器の専門家である小川純一郎さんが、フィリピンの民族楽器の弾き方を子どもたちに教えてくださいました。家族、友人みなで、アンデレホールの真ん中にある大きなクリスマスツリーを囲んで写真を撮って、最後に交換プレゼントをして、カパティラン・クリスマスパーティーを終えました。


■フィリピン大使館クリスマスパーティー

2007年12月12日にフィリピン大使館でクリスマスをお祝いするパーティーが開かれ、カパティランのスタッフ全員で参加しました。大使館の新しい方々に会うチャンスであると同時に、前からの知り合いやお世話になっている方々に直接ごあいさつをしたり、感謝を伝えたりできるよい機会でもありました。大使館のスタッフで構成された聖歌隊がフィリピンのキャロルを歌って、殆どが日本人であるパーティー参加者をもてなしてくださいました。そしてフィリピンの伝統的なクリスマス料理が饗されました。カパティラン・スタッフは、フィリピン大使館一等書記官兼総領事、ソルピシオ・M・コンフィアドさん、労働担当官のソウル デ ヴリズさん他、たくさんの方々とお話しし、記念のクリスマスプレゼントをいただいて帰途につきました。


■電話相談件数

<11月> 186 件

TOP3 (1) 婚姻関係27 (2) ビザ関係21 (3) DV関係16

<12月> 141 件

TOP3 (1) 婚姻関係11 (2) 子ども関係 9  (3) DV関係 4

■ケースワーク件数

<11月>6件
<12月>9件

■面談件数

<11月>5件
<12月>6件


昨年もたくさんのお支えを賜りましてどうもありがとうございました。運営委員、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。カパティランは今年10月に設立20周年を迎えます。これまでの活動を振り返り、改めて見直すと同時に、今後の活動に向けて、時代の変化に伴うさまざまな要求・必要に応えていかれるよう、スタッフはトレーニングを重ね、話し合いを重ね、蓄積を活かし、クライアントに向き合ってゆきたいと思っております。皆さまから今までにいただいたお祈り、活動へのご理解、ご協力、お支えに深く感謝いたしますとともに、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。